民法/民法32条1項後段の身分行為においての解釈について

usio 2015-12-19 11:19:53

いつも分かりやすい講義をありがとうございます。

民法32条後段の「この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない」という文言が、婚姻のような身分行為がなされた場合にも適用されるのか、という論点について、再婚した後に失踪宣告が取り消された場合にも適用されるというのが従来の通説であると学びました。
この解釈は当事者がともに善意であることを要求しているので、婚姻(再婚)の場合にも両当事者の善意を要求することになり、両当事者が善意の場合には後婚のみが残るのですよね。
しかし、そうではない場合(再婚当事者の一方または双方が悪意の場合)には前婚が復活して重婚状態になってしまうため、前婚については離婚原因(770条1項5号)、後婚については取消原因(744条、732条)となるのですよね。

ここまでは分かったのですがそれを踏まえて質問です。

①上記のように「再婚当事者の一方または双方が悪意」の場合の重婚状態の解消は、前婚を離婚原因として後婚を残すのか、後婚を取消原因として前婚を残すのか、選択できる、ということなのでしょうか。

②また、もし、選択できるのだとしたら、その選択権は失踪者、失踪者の配偶者、失踪者の配偶者の再婚相手、の誰にあるのでしょうか。

③そして、それを決めるのもやはり裁判所なのでしょうか。

質問が多くて申し訳ございません。
とても気になってしまったので、お手数ですがご教授いただければと思います。
よろしくお願いいたします。

 

 三田です。
 返信遅れて失礼しました。決してクリスマスに浮かれていたわけではありません(笑)

 で,ご質問の件ですが,後婚の取消を請求できるのは,前夫・妻・新配偶者(新夫)・検察官で,前婚の離婚を請求できるのは,前夫と妻のみです。

<夫が失踪宣告を受け,妻が再婚した事例で検討すると…>
 前夫,妻,新配偶者の三者協議で解決するのが理想ですが,協議が整わないときにはどうなるのか?
 一般論では,新配偶者は後婚の継続を望むことが考えられるので後婚の取消を請求せず,前夫が後婚の取消を請求する可能性があります。なお,前夫も妻も後婚の取消を請求しない場合は,重婚は違法状態なので検察官が後婚の取消を請求することになります。
 結果,後婚が取消されたことについて前夫と妻に不服がなければ,前夫と妻は前婚の離婚を請求しないので,前夫と妻は離婚しないでヨリを戻すことになります。

 他方,後婚の取消に妻が不満であれば,妻は前婚の離婚を請求することが可能です。妻は,前婚の離婚を請求して一旦独身に戻り,それから新配偶者と再び結婚することもできるし,またそのまま独身を続けることもできます。

 以上から,前婚について離婚するのか,後婚を取り消すのかは,「誰かがそれを言い出すかどうか」で決まる感じですね。離婚&取消の両方がおこることもあるわけです。
 なお,裁判所は離婚事案と取消事案を個別に審査するので,「どちらを残そうか」と審査するわけではありません。

参考になった:3

jimukyoku 2015-12-24 13:44:55

お忙しいところありがとうございます。

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usio  2015-12-27 15:54:51

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